点検が点検で済まない場合

9月から工賃の価格を改定し、特に支障も無く営業出来ている事はお客さまのご理解あっての事。ありがとうございます。


さて、点検という工賃項目を2,700円としております。

内容としては

・パーツを外さずにアクセスできるボルトの固定確認

・パーツ交換を伴わずに調整のみで改善できる箇所の修正

・消耗部品の確認

などと目視に加えて、30分適度で出来る事を一つの点検の基準としております。

点検にて問題のある個所で、点検の内容では賄えない事項については、別途作業のご案内となります。


例えば、チェーンが消耗していて交換が必要な場合は、チェーン交換としてチェーン代金+チェーン交換工賃をご案内する事になります。

その際、チェーン交換工賃には変速調整の内容も含まれ、点検の内容と重複するのでその分の工賃を調整してお伝えするようにしています。


イベントやレースの参加において、車検証のような物の提出が求められている場合もありますが、当店の場合では洗車又は点検をご依頼頂ければ、その項目は網羅できるようになっています。


点検のつもりが点検では済まない例が多くなっています。


どういう事かというと、ご自身で組み立てをされた車体がそれに該当する場合が多いです。

BtoC

今やメーカーから直接フレームやパーツが購入出来る時代です。

輸入代理店や我々のような自転車屋(小売店・販売店)を介さない事で、安価に購入が可能となっています。

個人的にはそれについては否定的ではありません。

安く買いたいのは当然の心理ですし、販売形態も変わっていく事は当たり前なので、自転車屋もそれに合わせた思考で、時代に合ったサービスを考えるべきだと思います。


自転車屋が関与していない車体が多くなっている事。

これが現時点での問題であり、危惧すべき状態だと感じます。


パーツや車体をご自身で購入して、自身で組み立てや作業をする、という様な例が増えています。

これ自体も決して否定的ではありません。

自分もそうしてきた過去がありますし、少なくとも自転車屋さんに勤めている人はそんな過去は絶対あると思います。

自分の車体を超えて、知り合いの車体に手を入れ始めるとまた違う大きな問題になると思うのでかなり否定的ではありますが。


この時代、わからないと思えばweb検索やyoutubeなどを使い、自分一人で正解に近づけます。

正解に近づけるのですが、正解に辿り着いているかはかなり怪しいです。

油圧ブレーキが席巻していますが、それの組み付けも正解のブレーキタッチを知っていないと、いくら動画で見ながらやっても正解に辿り付いたのか分かりえません。


自転車も構造が複雑になっていったり、価格が高くなっている事、一人で正解に近づけてしまう環境や他にもありますが、全ての要因が一度バラしてみないと安全が確認出来ない様な”点検だけでは済まない”車体を生み出している要因です。


なんとなくそんな危うい車体が増えていて、それがイベントやレースを走っている状況を何とか打破したいと考えているものの、自転車屋さんが長い期間をかけて失ってしまった信頼感という物も感じます。


そこで、講習会やセミナーみたいな見たり聞いたりだけではなく、実際に工具を持ってもらって、自分の車体を使って実演する、ワークショップ的な事をやっていこうと思います。

正解を共有する事が現代の自転車屋さんの使命かも知れません。


そんな事したら、自転車屋さんが自分たちの仕事が無くなってしまうのではないかと思われますが、そんな一度実演した程度で簡単に完璧にマネ出来てしまう事なんて、ほとんど価値の無い事です。

自分は何も隠す事は無いので、ノウハウや小ネタもお伝え出来ればと思います。


また、イベントとしてワークショップ開催の場合は告知致します。

お楽しみにお待ちください。